生活リハビリ事例
2023.08.30

【動画】初生デイサービス ケアリラクゼーションと個別機能訓練「脳出血で片麻痺のわたし」

【動画】初生デイサービス ケアリラクゼーションと個別機能訓練「脳出血で片麻痺のわたし」

静岡県浜松市北区の生活リハビリ初生デイサービスセンターでは、脳梗塞の後遺症を抱えながらもデイサービスをご利用する中で、ご自身の体験や思いを「絵本」にして表現されたお客様がいらっしゃいます。今回は絵本と作成経緯、その取り組みについてご紹介します。

更年期という女性としてのステージが変わりゆく中で、人生これからという51歳の時、ある日突然何の前触れもなく脳出血を発症し、左半身の麻痺と強い硬直、酷い痺れに悩み苦しみながら向き合う人生を送ることになりました。絵を描くことが好きな弥生様に、ケアリラクゼーションセラピストが「本格的に出版出来るクオリティーを目標に、ご自身の身体と心に向き合った絵本製作」を提案し、一緒に取り組む活動を行いました。作業療法士による個別機能訓練との相乗効果で関節可動域が広がり、困難だった長時間の姿勢保持も可能となりました。
現在64歳、脳出血を発症されてから13年が経過しました。
日本人の、およそ4人に1人は脳卒中(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血)になり、発症しやすい年齢は、男性では60代、女性では60~70代が多く近年は若年化傾向にあるそうです。
見た目では伝わらない痺れと、共感し合う同世代の仲間がいないもどかしさから、心に深く蓋をしてきた弥生様の描かれた作品を、是非ご覧下さい。

デイサービス_静岡

【著者の願い】

51歳の2月、冬の寒い日だったよね。「脳出血」で倒れた あの日、あの時。
すごいショックと同時に気持ちは、やけに冷静だった気がする。左半身が動かない、だらーんと力が抜けて声を出そうとしても上手く話せない。リハビリを初めてうける時、車椅子に乗せられ、エレベーターの中の鏡に映った自分の姿をみた。左側に傾き、顔は歪んでる。一生分の「苦」を引きずったような、表情が全くない顔、見たくなかったけど、これが現実だった。鏡に映った自分の未来に先が見えなくなって怖く恐ろしかった。私は、この気持ちを誰かと分かち合いたかった。私のような若い時期に片麻痺となる女性は稀で中々いないらしい。
「どこかにいるはず。なぜ出会えないの?どんな暮らし方をしているの?周りの51歳と、私は違ってしまった。悔しい。今まで自分が知り合ってきた人達との交流は無くなってしまった。常に人と比べてしまう自分。周りの視線を感じながら送る生活。ほんの少しでもこの思いとふれあいたい。」
この記事が誰かの目に留まり、私の存在を知り、語りあう友達が出来たら、夢が叶います。

「まだ見ぬ、同じ境遇の友と、関わる大切な家族へ」この絵本を捧げます。

絵本「らくがき」

浜松市デイサービス_脳出血で片麻痺のわたし浜松市デイサービス_脳出血で片麻痺のわたし
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絵本を書き終え

浜松市デイサービス_脳出血で片麻痺のわたし絵本を描き終えた率直な感想を、直筆でお書きくださいました。
本心と向き合ったメッセージ」を、是非クリックしてください。

ケアリラクゼーションでの取り組み

浜松市デイサービス_脳出血で片麻痺のわたし生活リハビリ初生デイサービスセンターの中には、扉を開けると、デイサービスの雰囲気とは違った「心温まる極上の空間」があります。心地良いアロマオイルの香りとセラピストの手から伝わる安心感で、弥生様の悩みを傾聴し続ける中、「環境は変えられないけど、私に仲間探しのお手伝いは出来ないか?」と考え、弥生様の身体の状態や心境を一枚の紙に書いてもらい、地域のケアマネジャーにお配りしました。
「一人いるけど、周りの視線が気になり家で過ごす事を望まれている」
「高齢で認知症もあるから想いの共有は出来ないかも」と、有力な情報は得られませんでした。

弥生様は「今の私は行動も制限されている。それと同じくらい心の制限もかかっている。優柔不断で、麻痺の無い人の生活を羨ましく思い、出来ない自分をどうしても比べてしまう。」と、悲痛な思いを何度も私に訴えました
痺れや硬直と付き合いながらの絵本製作は思った以上に大変で、弥生様の状態を作業療法士の青木と共有しながら行いました。今まで語られてこなかった内面を表現することに、始めは抵抗を感じ、消極的な弥生様でしたが、「誰にこの本を読んでもらいたいか」という所に焦点を絞り、私との対話で、向き合いたくない深い部分を見つめながら、構成やレイアウトを共に考え進めていき、唯一無二のオリジナル絵本が完成しました。

作業療法士の関わり

浜松市デイサービス_脳出血で片麻痺のわたし「体幹を鍛えて、傾いてしまう姿勢を治したい」という目標で個別機能訓練は開始しました。筋肉の緊張を緩和して心身ともにリラックスした状態にし、天候や気温の小さな変化にも反応する身体状況を細かく捉え、その日の状態に合わせてアプローチをしていきます。見た目に表れる痙縮(筋肉の緊張が異常に高まった状態)や、見た目にはわからない手足の痺れに悩まされている弥生様の身体面をケアし、不安を感じる心理面に寄り添いたいと、私達は思い続けています。

脳出血後遺症による麻痺症状から自分の見た目が気になってしまい、人と積極的に関われなくなってしまった。かわいそうだと思われたくなくて、馴染みの人との付き合いも続けられなくなってしまった。今までできていたことが、できなくなってしまった。みんなができていることが、自分にはできない。自分の身体の状態も、これからどうなってしまうのかもわからず、不安な日々を抱え続けた日々。そんな中で自分の気持ちに折り合いをつけ、それでもやはり今なお折り合いのつかない心の葛藤を繰り返しながら過ごした10年以上の歳月と改めて向き合い、絵本という形で表現してくださいました。

私と同じような人が どこにいるのか
私と同じような人は 何をしているのか
私と同じような人は どのくらいいるのか
どこかのデイサービスに通っているのか
病気になった人がそんなにいないのか
ずっと考え続けている

リハビリで1対1で関わる時間の中で、同じような思いを抱えた人と出会いたいと切望する気持ちをこのように話された弥生様の想いが、一人でも多くの方に伝わることを願っています。

ケアリラクゼーションセラピストのコメント

「4歳の孫は、じーじあそぼ、じーじ、じーじ。と、私を通り越して行くの。もう切なくて。麻痺がなければ、走ったり抱っこしたり普通のおばあちゃんみたいに、遊べるのに。お父さん(夫)にまで嫉妬しちゃってる。家族に嫉妬するなんて、顔では笑っている私だけど、心はかき乱れている。」
「カチコチの身体だけど、私は残りの人生楽しく生きたいの。このままで終わりたくない。」
「ずっと自分一人が悲しみの主人公にいるようで、常に他人と比較してしまう。それは、今も変わらない。」
ケアリラクゼーションルームで足浴をしている時、大粒の涙がこぼれ溢れるお姿が今も目に焼き付いています。

完成した絵本を弥生様のケアマネジャーにご覧いただくと、「目を潤ませながら読みました。絵本を通じて、弥生様とより深く分かり合えることが出来た気がします。麻痺の方の、言葉に出来ない心情も描かれ多くの方に読んでいただきたいです。」と、仰っていました。

「受け止め難いことがあっても、それでも前に進んでいく。」

感じたことを素直に挑戦する弥生様の希望が実現することを、私も願っています。
同じような思いを抱いている方がいらしたら、とても嬉しく思います。

そして今、二作目の作品に取り掛かっています。二作目はお孫さまに読み聞かせをする「ファンタジー作品」です。じーじの様に遊ぶことは出来ないけど、ソファーで隣同士に座り、温かいココアとクッキーを添え、読み聞かせをする。その夢の実現に向けて、心温まるサポートをし、ずっと弥生様に寄り添っていきたいと思います。

【インタビュー動画】

静岡新聞社様に取材をしていただいた時のご様子を動画にまとめています。ぜひご覧ください。

デイサービス_静岡

こちらのデイサービスの詳細は

アクタガワ 生活リハビリ初生 デイサービスセンター(浜松市)

アクタガワ 生活リハビリ初生 デイサービスセンター

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