静岡市清水区の押切デイサービスでは、生活リハビリに取り組んでいます。こちらの記事では、生活リハビリ事例をご紹介します。

お客様情報

お客様　I様　　94歳　　介護度：要介護4

目標：「体力が心配だけど、これからもなるべく自分でできるようにしたい 」

R6年2月に右大腿骨頚部骨折を受傷され、退院後はお一人での生活を続けておられましたが、R7年7月に当施設へ入居されました。入居後すぐに個別機能訓練を開始いたしました。
興味・関心チェックリストをもとに、できる・できないにかかわらず、「してみたいこと」「興味のあること」についてお話を伺いながら、I様の思いを丁寧に引き出していきました。
お話の中では、
・農業をされていたこと
・昔、和裁教室に通っておられたこと
・みなと祭りの盆踊りに参加されていたこと
など、I様のこれまでのご経験や興味関心について、多くのことを知ることができました。
これらの情報を参考に、I様が「楽しい」と感じながら取り組めるリハビリを心がけてまいりました。
手芸や踊りについては、当初「もう何年もやっていないからできないよ」とお話しされていましたが、何十年ぶりかに再び挑戦されました。
入居当初からさまざまなことに意欲的に取り組まれてきたI様、今回は、I様の生活リハビリ記録をご紹介いたします。

★一つ一つの活動やリハビリに意味があり、これらを通して機能維持・向上を目指します。

興味関心チェックリスト

※ご本人へ聴取し職員が書き込み

～趣味活動・手指巧緻機能動作～

手芸クラブ

「目が悪くなっているから、もうできないと思うよ」とお話しされていたI様。まっすぐ縫う部分を担当していただくことにしました。ゆっくり丁寧に針を進められ、手芸クラブの仲間と役割を分担しながら、施設の皆様で使用するティッシュボックスカバーを見事に完成させることができました。

クラフトバンド

お世話になっているケアマネさんへプレゼントするため、細かな作業となりますが、一生懸命職員と協力しながら取り組んでいらっしゃいました。

ケアマネさんにプレゼント

料理クラブ

料理クラブには毎回のように参加してくださるI様。包丁を使った調理にも挑戦され、ある日にはそばにあったほうきを手に取り、自らすすんでお掃除をしてくださる姿も見られました。

～バランス機能～

踊り

支持物に頼らず、ゆっくりと一歩ずつ進みながら、右へ左へとバランスを取り、「これを繰り返していくの」と教えて下さいました。

花壇の手入れ

「農家やっていたからね～」といつも楽しそうに話して下さるI様。椅子も用意させていただきましたが、座らず中腰の姿勢で手際よく作業を進めておられました。

～持久力・下肢筋力強化～

エルゴ・歩行練習・階段

3階の居室から1階のフロアまで歩いて来られるI様。「これからも自分の足で歩きたい」との思いを大切に、リハビリでは毎回休憩を取りながら長い距離を歩く練習に取り組まれています。時には職員と会話を楽しみながら外を散歩したり、階段に挑戦したり、雨の日にはエルゴメーターを活用するなど、継続して意欲的に取り組まれています。

強い風にも負けず頑張りました。

結果

7月から入居され、初めは「慣れないね」「家に帰りたいよ」と不安なご様子も見られました。しかし現在では、さまざまな活動を通して表情も明るくなられ、「農家だったからハイカラなことはやってこなかったけれど、ここでいろいろな経験ができて嬉しい。毎日楽しいよ」とお話ししてくださるようになりました。また、リハビリへお誘いするとI様「行く？」と笑顔で待っていたかのように返してくださるI様の姿がとても印象的です。
I様のように、「昔やっていたけれど、今はもうできない」とお話しされる方はたくさんいらっしゃいます。それは自然なことです。
ですが、私たちは「できる環境」や「できる範囲」を整えることで、少しでも「できた」という喜びや自信を感じていただけるよう努めています。そして、その小さな積み重ねが、前向きな気持ちや日々の充実につながると考えています。
今後も皆様が楽しく安心して毎日を過ごしていただけるよう、職員一同でしっかりとサポートしてまいります。

他のお客様とも話しが弾むようになりました。

「いろいろな経験ができてうれしい」と様々なことに積極的に取り組まれています。

施設長より

いろいろなことに積極的に挑戦されるI様の姿勢は本当に素晴らしいです。「できない」と諦めるのではなく、「どうすればできるか」を一緒に考え、日々の小さな達成を積み重ねることで、I様の生きがいが少しずつ形になってきています。
これからも、その一歩一歩を大切にしながら、丁寧に支援してまいります。

この生活リハビリを実施している拠点

アクタガワ 生活リハビリ押切 デイサービスセンター(静岡市清水区)